「“使えないTRIZからの脱却”」(前古)

「“使えないTRIZからの脱却”」(前古)

 こんにちは、IDEAの前古です。

 日本の企業でTRIZが導入され始めたのは1998年。
自動車・電機・機械・鉄鋼の大手優良企業など46社が集まってコンソーシアムが組まれた。
この耳慣れない、鳴り物入りで紹介された「TRIZ」という問題解決手法を紐解こうと、業界や分野を超えた技術者が集結したのだ。

 ロシア生まれのTRIZは、米国経由で、支援ソフトウェアとともに日本に入ってきた。
PCにインストールされたソフトウェアをキーボードで叩き、一部 ”聞き慣れない難しい日本語?” に訳されたテキストに向かい、発明原理・心理的惰性・進化の法則・物質-場分析などを皆で勉強した。

 優秀である企業の技術陣に変化が起きたのは、それから1年半くらいした頃だったと思う。
毎月東京に集まって勉強会に参加しているメンバーの数は100名前後。いつもと同じカンファレンスルームは満員で変わりはないのだが、メンバーが入れ代わる。○○自動車や△△電機が来なくなった、その代わりに□□産業が入ってくるといった具合に・・・

 参加しなくなったメンバーはある意味お仲間であったので、個別に訪問し「なぜ参加をやめたのか」を確認すると異口同音にこう言った。

 「TRIZは期待したほどのものでなかった」「推進をあきらめた」「答えが出ない」

そう“使えないTRIZ”の烙印とともに撤退が相次いだのである。その傾向は2003年まで続いていった。

 理由は 「TRIZ=ソフトウェア」といった誤解、TRIZ理論への理解不足、“発明”への過度な期待、類推思考の不足、指導者の欠如などが挙げられる。もっとも当初は皆が初めてのトライだったのだから、日本に指導者などいなのは当たり前である。

 しかし、期待したTRIZは間違ってはいなかった。
その後、失敗を繰り返しながら、落とし穴を一つずつ埋め“使えるTRIZ”に戻っていった。

 2003年になって企業における成功事例が大々的に発表されるようになり、ヒット商品が生まれている事実を知って、去って行った企業が再びトライを始めていったのである。
そして現在、そのうねりは中堅中小企業へも広がりを見せ、TRIZを活用して世界初製品を発表するに至っている。

 中堅中小企業が導入しようとするときに良く聞かれる言葉に、“我が社で出来るわけがない”というのがある。
その理由は、人が少ないから・時間がないから・お金がないから・何をすればいいかわからない・業界が違うから・・・など。とにかくできない理由のオンパレード。理由などははいくらでもある。

 今のままで勝てるならそのままでいい。利益を出し続けられるなら全然問題ない。しかし、そうはいかないはずだ。

 開発者や技術者の勘と経験は重要だが、それが邪魔をすることもある。今までどれだけやってきたかの延長に存在する“出来るわけがない”という壁。従来のやり方で考えれば、確かにその壁は立ちはだかっているかもしれない。
 しかし、TRIZを使ったらどうなるであろうか?...「出来ないわけがない」となるのである。

 誤解がないように言うと、勘と経験と度胸を持ち合わせた上でのTRIZ活用である。あくまでも体系的技法を勘と経験と度胸にプラスするといった話であって、TRIZを使えば何とかなるという話ではない。

 “鬼に金棒”という言葉がある。金棒というのは鉄の塊でとんでもなく重い。いくら金棒がとんでもなく効果的な武器だとしても、振り回す技量(力)が無いと役に立たない。ことによってはとんでもなく邪魔なものになる。

 

TRIZは、「鬼に金棒」のように、開発者・技術者をエンパワーする
TRIZは、「鬼に金棒」のように、開発者・技術者をエンパワーする

 

 TRIZも同じである。
固有技術をもった技術者が使ってこそ、威力を発揮するのだ。
そう言うと、たいした固有技術なんて私は保有してない???という声が聞かれそうだが、その業界で、ある技術に関して5年から10年以上携わっているあなた。

あなたは固有技術を保有した技術者です!!

前古@IDEA

このコラムのつづき「“使えないTRIZがどう変わったのか”」を読む

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